研究(study、research)と開発(development)ではどんな違いがあるのか知っていますか?企業で行う研究と開発は、似て非なるもので同じではありません。その二つではどんな違いがあるのでしょうか?研究職と開発職の違いとは、具体的にはどういったところなのでしょうか?それぞれの仕事内容も、合わせてご紹介します。
研究と開発ではどんな違いがあるの?
理系分野に携わっていなければ、どちらも同じと捉えてしまいがちですが、『研究』と『開発』には大きな違いがあります。簡単に説明すると、可能性を示していくのが『研究』で、その可能性を製品化することが『開発』となります。
豊田中央研究所:基礎研究開発
— 山本 真義@名古屋パワエレ武道会 (@YamamotoPENU) May 3, 2022
東富士研究所:先行技術開発
トヨタ本体(豊田市):製品開発
の違いとなります。
下記図、ご参考に。 pic.twitter.com/ZRfr2T39MG
研究においては、その研究が失敗に終わったり、研究内容が実現不可能なものであるということを証明するということも立派な『研究』となるわけです。ですから、『研究』の場合は「この研究は失敗でした。」「この研究は実現不可能でした。」と言うことも立派な成果と言えるのです。ですが、その『研究』をもとに『開発』を行うわけですから、一定の成果を上げなければなりません。『研究』段階で、しっかりと成果を出し、その成果をもとに商品『開発』の段階に入ります。
研究職と開発職の違いとは?開発職の種類は?
『開発職』は大きく二つに分けられています。まずは『商品開発』です。商品開発とは、新しい商品やサービスを形にして、発表したり発売することを言います。大量消費社会の現代においては、マーケティング調査・コンセプト設定・試作・プレゼン・販売戦略をスムーズに行い、商品を世に送り出すことが重要になっています。こういった、商品開発をするにあたっては、その商品をどのように製造するのか、また、出来上がった商品がどのように使われるかなどを探っていきます。『モノ』であったり『サービス』であったりと、世に出回る『商品』は多種多様に存在します。この世にないものを作り上げる仕事は、失敗や試作を繰り返しながら、長い時間や多くの資金を投入して商品化されます。
研究開発と商品開発の違いを理解しよう!
- どういったものが今、求められているのか?
- どういったものを市場は欲しがっているのか?
- こんなものがあったら便利だな。
- こんなことができれば○○の可能性が広がるのに。
世の中から求められている「あったらいいな」を商品化できるかできないのか、サービス化できるのかできないのかを追求し、答えを出すのが『研究開発』です。
これ「大企業と研究開発型ベンチャー間の連携における失敗事例」なんだけど、大企業とベンチャーの仕事の進め方の違いを比較する内容になっていて面白いしわかりみが深すぎる。 pic.twitter.com/EmPrETXZU1
— ゆるお (@yurushosha) March 29, 2022
この、研究開発で研究されつくした様々な研究結果をもとに、『商品開発』を行っていきます。ですが、研究開発して商品化されそうな結果をもとに、商品開発を行っても、実際に商品化され、販売できる『商品』となって、発売し世に出回るものは100開発につき1商品だと思います。
It's a Sony展で展示されてるAIBO試作機、よく残ってたナ。研究開発品を残すと通常、帳簿上高額な資産となり、税務上不利になりがち。よって残したくても廃棄される。過去の研究開発品がこうして展示できるよう、当時保存されたのは、誰かの強い意志があったに違いない… pic.twitter.com/eECD1WzIBV
— higuchi_masaki@jurilog (@jurilog) November 20, 2016
また、研究開発の段階から考えると、100,000研究のうち1個あるかないかのレベルでしょう。ですから、いくら多くのアイディアがあったとしても、そのアイディアを形にして商品化し販売し、売り上げを上げて利益を出していくのはそう簡単なものではありません。この世に存在するありとあらゆる商品や製品、サービスには長い時間と、莫大な資金が費やされているのです。
製薬会社の研究職と開発職の違いは実験をするかしないか。
『研究』と聞くと、何を思い浮かべますか?薬?医療?ノーベル賞?なんとなく、化学的なイメージがあるのは私だけでしょうか?製薬会社の研究職は、その名の通り『薬』に関する研究を行います。各ジャンルに分かれ、その分野の研究や実験をひたすら行い研究成果を上げていきます。理系の大学院で、修士号を得て製薬会社の研究職につく方が多く、製薬会社の研究職を続けながらも大学院に通い続け「博士号」を取得する方もいらっしゃいます。このようにひたすら繰り返される実験結果に基づいて、『開発』を行います。臨床試験を行い、出された結果によりその薬の有効性や安全性の評価を積み重ね、データを出します。こういった、臨床試験の結果に基づき「薬」として、商品化されていきます。
就活する際に、開発職より研究職を志望する場合は?
研究職として、企業が欲している人材として、どこの大学・研究室の出身であるかが、就職の内定を得るのに、大きく左右すると言えます。大学のレベルも大事な要素ですが、研究室のレベルも大事な要素になります。権威ある先生の研究室や、実績の高い研究室の出身であれば、そこに所属していただけで自分の価値が上がるということもあります。ですが、一番大切なのは自分の実力です。ですから、自分の研究したい分野と、研究室の方向性が合致しているということも重要ではないのでしょうか?薬学部の研究室だと、生物系・有機系・分析系・薬剤系・臨床系・物理系などがあります。研究職として就職しやすい条件としては、他の学部との競合が少なく、薬学部特有の『薬剤系』が有利ではないかと考えられています。現実、生物系や有機系などは、薬学部だけではなく、工学部や理学部など、他の学部でも存在しますので、就活の際には他の学部との競合が避けられません。薬学部は、他の学部からすると、一つの分野を深く追求するというよりも、色々な分野を広く浅めに研究するという特徴があります。ですから、有機系や生物系だと、他の学部に劣ってしまう傾向があります。自分が研究する分野に精通する研究室で研究することも大切ですが、その先の『就職』と言うことも視野に入れて、研究室を選ぶとよいでしょう。
まとめ
理系の大学を卒業した後、就活する際に、研究職に就くか、あるいは、開発職に就くか迷う方もいるかもしれません。そんな「研究」と「開発」の違いのついて説明しました。可能性を示していくのが『研究(study、research)』で、その可能性を製品化することが『開発(development)』となります。英語の意味からも、その二つの違いがなんとなく伝わってきますね。