ここ数年は四季関係なく、大雨や暴風などの被害が日本各地で出てしまっているような状態で、うちも常に防災の意識を高めている次第です。
そこで今日は、ニュースでも時々目にする「避難勧告」や「避難指示」「警戒レベル」などについて詳しく調べ、それぞれの違いについてもまとめます。
また、実際に発令された時にどのような行動を取ればいいのか、避難のタイミングや準備についても簡単にまとめてみました。
本記事が、みなさんの適切な行動を判断する手助けとなれば幸いです。
避難勧告と指示の違いは?
まずは時々耳にする、「避難勧告」と「避難指示」という用語があります。
何だか難しい言葉で、これだけだと緊急なのはわかりますが、ではどうすればいいのか、ピンときませんよね。
とはいえ、とっても大切なことなので、知らないわけにはいきません。
と言うわけで、それぞれどのような意味でどのような違いがあるのか、簡単に解説していきます。
まず、住民の避難に関連した発令は、以下の3種類があります。
- ⑴「避難準備・高齢者等避難開始」
- ⑵「避難勧告」
- ⑶「避難指示(緊急)」
(危険度や切迫性は下にいくほど高い)
これらは全て、各自治体(市町村)の長が住民に発令するものです。
みなさんのお住いの市や町にも防災行政無線が設置されていると思いますが、ここから、放送で流されることになります。
でも風向きによっては、何て言っているのか、良く聞こえない場合もありますよね。
外は大雨。何か放送が聞こえた。でも内容までは良くわからない。
そんな場合には、ネット(携帯)で調べてみましょう。
サファリなどを開いてグーグルで、
「○○県 避難 最新」
などと検索して、お住いの地域に勧告などが発令されていないか、確認してみましょう。
- 市のホームページ
- 市の公式フェイスブックやツイッターなどのSNS
などを直接見に行くのも良いです。
普段からエリアメールや緊急速報メールなどを受信できる設定にしている方は、市からのメール情報をチェックします。
これらを確認しても先ほどの3種類のものが見つからなければ、とりあえずお住いの市町村からは何も発令されていることはない、ということになります。
実は、各自治体によって発令する基準が異なっているため、隣の市も同じような状況でも、片方はすぐに避難しなくてはならないのに、片方ではまだ待機、ということもあリます。
そして、もしお住いの地域で何らかが発令されていた場合、次にどうすればいいか、ということになります。
- ⑴「避難準備・高齢者等避難開始」→やや危険 高齢者や乳幼児とその付き添いの人は避難!
- ⑵「避難勧告」→危険 被害が発生する恐れがある。全員避難!
- ⑶「避難指示(緊急)」→超危険 広範囲で甚大な被害が発生する恐れがある。速やかに全員避難!
まず、違いとしては、避難勧告よりも指示の方が、より危険が切迫している状態になります。
避難指示の場合には、いますぐ急いで速やかに!という感じなんです。
実際に取るべき行動としては、
- 「避難勧告」=絶対に逃げろ!
- 「避難指示」=逃げ遅れの可能性が出てきてるレベル!大至急、速やかに逃げろ!
となります。
ちなみに(1)の「避難準備・高齢者等避難開始」の発令はない場合も多く、いきなり(2)が発令される場合も少なくありません。
なので、(1)が出ている段階で、ご高齢の方や赤ちゃんがいるご家庭だけでなくとも、いつでも避難できるだけの準備を始めた方がいいでしょう。
そして、この後も出てきますが、この指示の先は災害が発生している段階になります。
こうなると、逃げた方が危ない、という場合も多く、逃げられない可能性が高いです。
どんなに遅くとも「避難指示」、ベターなのは「勧告」の段階で全員が行動です。
警戒レベルを簡単解説
警戒レベル(レベル1〜5)という基準も現在は存在しています。
こちらは先ほどの避難勧告のように市区町村が発令するものではなく、国や都道府県が発令する情報で使われます。
避難○○とレベル○では、発令するところが異なっている、ということですね。
でもなぜ別の情報として出されるのか、というと、今までの○○警報や避難○○みたいな感じだと、その言葉を聞いても、切迫性が想像しにくいですよね。
私も、○○警報などと聞いても、どの程度今危険が迫っているのか、パッと理解し、次の行動に移すのは難しいです。
実際、市区町村から防災情報がちゃんと発信されても、住民のみなさんがちゃんと理解することが難しく、○○警報などの言葉だけでは、避難行動にも繋がらなかったようです。
そのため国がガイドラインの見直しをはかり、2019年ごろから防災情報を5段階に分けて、「警戒レベル○」という新たな基準を設けています。
気象庁の発表もある!
一方、テレビでも良く見かける、「大雨注意報」や「洪水警報」などがあります。
これらは、気象庁が発表しているものになります。
(国や都道府県、あるいは市区町村などの自治体が発令する情報のような強制力はないため、気象庁の情報は発令ではなく「発表」となります)
国や自治体の発令に比べて、行動に移すためのものというよりは、シンプルに「情報」といった感じと考えればいいです。
とはいえ、多くの場合は、自治体も気象庁の発表を受けて、情報を発令するんです。
市長さんも、気象庁の発表を見て、うちの市でも発令するかどうか、発令するとしたらどれ?といった検討に入るんですね。
ですので、まだ近所の防災無線で何も放送が流れていなくても、ニュース等テレビでこれらの気象情報を見かけたら、そろそろ情報がでるかもしれない、と思って準備をするのが正解です。
大雨や洪水、氾濫など、それぞれを対応させてみると・・・・?
警戒レベル、または気象庁からの○○注意報・警報・・・、
なんか色々あってややこしいですよね。
でも安心してください。これらの基準は、お互いに対応ができています。
以下にレベル別にまとめてみます。
順番としては、下に行くほど、状況は厳しくなります。
警戒レベル1
警戒レベル1は、気象庁が発表する「早期注意情報」に該当し、市町村が発令する情報には該当しません。
ここではまだ、「災害への心構えを高めましょう」という段階で、災害は発生する危険度は低いです。
警戒レベル2
警戒レベル2は、気象庁が発表する「洪水注意報」「大雨注意報」などに該当します。こちらはニュースでも良く目にしますよね。
まだ避難するレベルではありませんので、市町村が発令する情報にも該当しません。
しかし今後予測される状況に備えて、ハザードマップ・危険箇所の確認や避難所・ルートのチェックなど、行動の確認は必要になります。
特に、普段どこに避難するか知らない!という方はこれを機に場所とルートを確認しておきましょう。
お年寄りや小さいお子さんがいるご家庭では、急な指示にも対応できるよう、この段階で準備をはじめると安心です。
テレビやネットなどの情報に引き続き注意しましょう。
避難所に子連れでいく場合ですが、それまでは命を守るための持ち物のことを考えて準備しますが、いざ避難すると、子供は暇を持て余します。
なので、電源を使わないおもちゃ・ゲーム(ウノ・トランプ・将棋など)を持っていくと、子供達の気持ちも少しは晴れますよ。
子供達が不安がっているだけで親は疲弊しますからね。
自分のものだったら子供もいやとは言わずに持ってくれるでしょう。
ただしリュック必須です!
警戒レベル3(避難に時間がかかる人は先に避難!)
警戒レベル3は、市町村が発令する「避難準備・高齢者等避難開始」に該当します。
気象庁からは「大雨警報(土砂災害)」「洪水警報」「氾濫警戒情報」「高潮注意報」等が発令されるのも、レベル3です。
こちらが発令されたら、行動に時間がかかることが予測される、「ご高齢の方」「障がいを持っている方」「乳幼児」などと、その支援者の方は避難をします。
そのほかの人は準備をする段階です。
警戒レベル3での伝達文の例(洪水が起きた場合):
緊急放送、緊急放送、警戒レベル3、高齢者等避難開始。緊急放送、緊急放送、警戒レベル3、高齢者等避難開始。 こちらは、○○市です。 ○○地区に洪水に関する警戒レベル3、避難準備・高齢者等避難開始を発令しました。 ○○川が氾濫するおそれのある水位に近づいています。 お年寄りの方など避難に時間のかかる方は、避難を開始してください。 それ以外の方については、避難の準備を整え、気象情報に注意して、危険だと思ったら早めに避難してください。 特に、川沿いにお住まいの方(急激に水位が上昇する等、早めの避難が必要となる地区がある場合に言及)については、避難してください。 避難場所への避難が困難な場合は、近くの安全な場所に避難してください。
引用)避難勧告等に関するガイドラインの改定(内閣府・防災担当)平成31年3月
また、土砂災害の危険性がある区域に住んでいる方や、急激な水位上昇の恐れがある河川沿いに住んでいる方も、準備ができ次第、レベル3で避難することが強く勧められています。
警戒レベル4(全員、逃げろ!)
警戒レベル4は、市町村が発令する「避難勧告」「避難指示(緊急)」に該当します。
先ほども説明しましたが、避難勧告と指示の違いは、勧告よりも指示の方が、より危険が切迫している時に使われます。
つまり、危険度としては
避難勧告(避難した方が絶対いいよ)< 避難指示(逃げないと本格的にまずいぞ!)
ということです。
またレベル4は、気象庁が発表する「氾濫危険情報」「土砂災害警戒情報」「高潮特別警報」「高潮警報」などに該当しますので、もし市町村から避難勧告や指示が発令されていなくても、これらの発表を見て、自分で判断して行動することが推奨されます。
何れにしてもレベル4は、全員避難です。
速やかに移動しましょう。
繰り返しますが、勧告と指示の違いがあるということを、お忘れなく!
逆に、移動が危険となる場合には、近くの安全な場所や自宅内のより安全な場所に避難することも言われていますが、次のレベルにきてしまうと、もうできません!
とにかくレベル4では、最善と思われる行動を起こすことが重要です。
警戒レベル4(避難勧告)での伝達文の例(洪水が起きた場合):
緊急放送、緊急放送、警戒レベル4、避難開始。緊急放送、緊急放送、警戒レベル4、避難開始。こちらは、○○市です。 ○○地区に洪水に関する警戒レベル4、避難勧告を発令しました。○○川が氾濫するおそれのある水位に到達しました。速やかに全員避難を開始してください。避難場所への避難が危険な場合は、近くの安全な場所に避難するか、屋内の高いところに避難してください。
警戒レベル4(避難指示)での伝達文の例(洪水が起きた場合):
緊急放送、緊急放送、警戒レベル4、直ちに避難。緊急放送、緊急放送、警戒レベル4、直ちに避難。こちらは、○○市です。○○地区に洪水に関する警戒レベル4、避難指示を発令しました。○○川の水位が堤防を越えるおそれがあります。未だ避難できていない方は、緊急に避難をしてください。避難場所への避難が危険な場合は、近くの安全な場所に緊急に避難するか、屋内の高いところに緊急に避難してください。
引用)避難勧告等に関するガイドラインの改定(内閣府・防災担当)平成31年3月
警戒レベル5(災害発生!)
警戒レベル5は、市町村が発令する「災害発生情報」に該当します。
また、気象庁が発表する「氾濫発生情報」や「大雨特別警報」に該当します。
レベル5は、いわゆる「逃げ遅れ」の状態であると言われており、普段は災害が起きないと思われているような場所でも危険な状態となっているような異常事態がすでに発生していることを示します。
危険区域からまだ避難ができていない場合には命の危険が迫っている可能性が高いですので、この段階にきてしまう前に、命を守るための最善の行動をとることがとても大切です!
警戒レベル5での伝達文の例(洪水が起きた場合):
緊急放送、緊急放送、災害発生、警戒レベル5、命を守る最善の行動をとってください。緊急放送、緊急放送、災害発生、警戒レベル5、命を守る最善の行動 をとってください。こちらは、○○市です。○○地区に洪水に関する警戒レベル5、災害発生情報を発令しました。○○地区で堤防から水があふれだしました。現在、浸水により○○道は通行できない状況です。○○地区を避難中の方は大至急、近くの安全な場所に緊急に避難するか、屋内の安全な場所に避難してください。 注)命を守るための最善と考えられる安全確保行動を行うことを呼びかける。
引用)避難勧告等に関するガイドラインの改定(内閣府・防災担当)平成31年3月
いかがでしょうか。レベル5、怖いですね・・・・。
警戒レベルは必ずしも1から5の順番に発令されていく訳ではなく、いきなり警戒レベル3や4が発令することもありますし、状況が急変することもあります。
レベル4で全員避難!と覚えておきつつ、「まだ大丈夫」などと待つことなく、早め早めの行動を心がけていきましょう。
準備のタイミングは?
ここまで読めば、準備のタイミングはレベル3(高齢者や乳幼児がいるご家庭はレベル3ですぐに避難)、避難はレベル3か4、ということで理解できたと思います。
レベル5では、逃げることでかえって危険が伴う場合もありますので、どんなに遅くともレベル4までの段階で行動する、というのが正しいタイミングのようですね。
もちろんレベル4が発令されても、「避難する方が逆に危ない」とご自身で判断される状況であれば、浸水に備えてご自宅の2階に移動したりするなども可能です。
(発令には拘束力はありませんので、背いても罰せられることはありません。それでも危険が迫っていることには変わりありませんが)
しかし、
- 川の近くに家があって低層階(想定される浸水の深さが50cmなら1階、3mなら2階、5mなら3階より下)か、木造家屋に住んでいる方
- 土砂災害警戒区域の方
は、ご自宅内に留まることは危険です。
早めの行動が必須です。
ちなみに、歩ける深さは「また下まで」と言われています。腰までの高さまで水がきていたら歩けません。その場合、自宅に留まるしかありません。
しかし、川のように水に流れがある場合には、現実的には膝下くらいまでじゃないと、足を滑らせた場合には溺れます!
よって、水深が大人の膝丈くらいある場合には、無理に移動しないようにしましょう。
そして、いざ、となった場合、どんな準備をすればいいのでしょうか。
避難準備とは?
まず、どこに逃げる?というところですが、
- 1)指定避難所(学校、公民館など)
- 2)公園や親戚・友人の家など、自宅よりも安全だと考えられる場所
- 3)近所の高くて頑丈な建物
といった場所が考えられます。
学校の体育館のような人がたくさん集まる場所にいきなり行くのは戸惑いもあるかもしれません。
普段からもしもの時に半日でも、避難させてもらえるようなお友達が近くにいると安心ですね。
普段から地震の場合、大雨で土砂崩れが起きそうな場合、河川が氾濫した場合、などと状況別に集合場所を家族で決めておくのが理想です。
そして、何を持ち出すか、準備します。
大至急の場合は、リュックにとりあえず、
- 現金、保険証、鍵
- 1〜2食分の食料と水500ml(赤ちゃん連れなら離乳食とミルク)
- タオルとティッシュ、トイレットペーパー
- 携帯電話、充電器
- 常備薬、生理用品やオムツ
- 懐中電灯、笛
を入れて、
・ヘルメット(なければ帽子でも)
・軍手、マスク
を装備し、スニーカーやトレッキングシューズなど底が厚くて歩きやすい靴で避難しましょう。
長靴は脱げやすく歩きにくいです。水が入ると動けなくなりますので、避難に長靴はNGです。
赤ちゃん連れの方は、抱っこ紐も必須です。
抱っこ紐がない場合でも、緊急の場合には、ネルシャツのような丈夫な上着で簡易のおんぶ紐を作ることもできます。
これ、大人をおぶって助ける場合にも使えそうですね。両手を離しては無理だと思いますが、お尻を手で支えておんぶの補助としては十分に使えそうに思います。(転落注意)
使える持ち物が出てきたら、随時追記していきます!
そして最後に「どうやって移動するか」ですが、普段の生活が車中心であるような地域の方でも、車での移動は厳禁です。
洪水の場合には、車ですとご自身の命の危険にも直結しますし、交通渋滞を招き、緊急車両の妨げにもなります。
自転車もNGです。
移動は、徒歩でしましょう!!
その際、川や田んぼはもちろん、マンホールや用水路の近くや、切れた電線の近くには絶対に近づかないようにしましょう。
すでに浸水していて地面が見えない場合、長い棒を杖のようにして水面下の安全を確かめながら歩くといいです。
そしてもしも忘れ物に気づいたとしても、絶対に戻ってはいけません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回の一番大切なところは、「レベル4では全員、徒歩で移動!です。レベル4では、河川が氾濫するおそれのある水位に到達している可能性があります。
しかし、お住いの場所や、経路の道路状況によっては、これよりも前の段階で、あるいは自宅内に留まることが良い場合もあることもわかりました。
そして、河川から遠く土砂災害の危険がほぼない地域に住んでいる方も、こういった状況が近隣の地域で起きた場合に取れる行動についても、普段から心構えがあると安心ですね。
災害は決して人ごとではありません。
普段からの備えは大切なのはもちろんですが、「何にもなかったら恥ずかしいから行動しない」という考えは捨てて、避難先で「何もなくて良かった」と言えるように行動するようにしましょう!