報道番組などで、桜を見る会の招待者名簿について特集されています。そもそも、招待者名簿や公文書が、どのような位置づけなのか気になります。また、文書をシュレッダーで廃棄することや、電子データのバックアップ体制や復元なども問題点として報道されています。今回は、わかりやすく、細かく砕いてこのニュースをお伝えします(笑)。
桜を見る会の招待者名簿とは?
1952年に、吉田茂首相が観桜会を桜を見る会としてを復活させました。その後、1954年(昭和29年)と1955年(昭和30年)に開催された桜を見る会の招待者名簿や、昭和32年までの公文書が国立公文書館に保存されています。
NHK時論公論「桜を見る会と公文書」
— ジャム (@jam9801) November 27, 2019
桜を見る会、以前の記録は残っていないのでしょうか。
取材をしたところ国立公文書館に昭和29年から32年にかけての実施要領や予算などの公文書が保存されていました。
実名はすべて公開。黒塗りはありません。
そして保存期間が「永久」と明記されています。 pic.twitter.com/p0B4RaxmKI
当時の招待者は4400人ほどでした。そのうちの半数は招待者の夫人などのため、実質的な招待者数は2200人ほどです。当初の招待範囲としては、「皇族や元皇族、各国大使など、衆議院議長と参議院議長及び両院副議長、最高裁判所長官、国務大臣、副大臣及び大臣政務官、国会議員、認証官、事務次官等及び局長等の一部、都道府県の知事及び議会の議長等の一部、その他各界の代表者等」です。桜を見る会を開始した当初は公的な役職に就いているいるかたや、外交官などが参加していました。
こちらは、吉田茂の秘書役でもあった白洲次郎が、GHQ民政局長のホイットニーに宛てた「Jeep way letter」と呼ばれる書簡。松本国務大臣が描いたとされる挿絵が見てとれます。資料は外務省外交史料館よりお借りしたものです。 pic.twitter.com/08KWhX9rBS
— 国立公文書館 (@JPNatArchives) May 3, 2017
外務省外交史料館にも吉田茂首相のときの文書が保存されています。吉田茂首相は外交を重視していました。桜を見る会には、各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するためでなく、外交を円滑にする目的もあったんですね。このような、公的な役職に就いている方々や外交官などを招待するにあたっては、次回開催する際の参考のために、前回の招待者名簿が必要となってきます。そのための招待者名簿です。
公文書とは?
内閣府の政策として、公文書管理制度があります。
公文書等(国の行政文書等)は国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録であり、国民共有の知的資源です。このような公文書等を適切に管理し、その内容を後世に伝えることは国の重要な責務です。公文書管理法(「公文書等の管理に関する法律」(平成21年法律第66号))は、このような公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的として制定され、平成23年4月1日に全面施行されました。
引用:内閣府
要は、歴史的事実として後世に残す必要があるかどうかや、行政が適切に運営されているかどうかに関する文書が、公文書となるようです。公文書は国立公文書館で保存されます。
撰定譜を探し求めるならば、他ですと国立公文書館に所蔵されている譜面も参考になります。ただし、明治9年選定分の楽曲までしか無かったと記憶しています(違ってたらごめんなさい)。当方であまり記録は残していませんが、書式はかなり近いように思えます。 pic.twitter.com/0yW2vukWDS
— 雅楽 下熊健 (@tsk_hsf) December 6, 2019
明治時代の雅楽の楽譜も保存されています。後世に雅楽を伝えるために楽譜は必要です。
招待者名簿を公文書として保存するのは適切?
桜を見る会の本来の趣旨と、招待範囲の基準を守っていれば、その名簿は、後世に伝えるために必要となってきます。特に、どこの国の外交官を招待したかなどは、国の外交にとっても重要です。そのため、招待者名簿を公文書として保存しておくことは適切です。最近の桜を見る会に招待された方々はどうでしょうか?
桜を見る会‥
— moco🩺 (@moco_masa86) April 9, 2016
寝る前に斎藤さんと斎藤さん発見して、斎藤さんの夢見そうで怖い😏 pic.twitter.com/BhVtYoTFGu
トレンディエンジェルの斉藤司や俳優の斎藤工など、芸能人が多数参加しています。公文書として後世に伝えるべきかは微妙ですね。
シュレッダーで廃棄するのは適切?
内閣府は保存期間1年未満の扱いとしている文書の具体例を提示しています。
・当該行政機関において別途1年以上の保存期間で正本・原本が管理されてい
引用:内閣府
る行政文書の写し
・国会に関する日常的な業務連絡
・国会の議事日程
・資料要求依頼
・幹部(政務を含む)の日程表等
・部局内の行事予定表及び定例的な業務計画表
・事務連絡(訃報、庁舎管理、定時退庁のお知らせ等)
・職員で供覧する新聞、雑誌記事の切り抜き集等
・インフォメーションメールに届いた軽微な質問に対する対応内容 等
わかりやすい具体例です。このような文書は、その後、シュレッダーで廃棄されます。
ニューオータニのパンケーキに続いて、ナカバヤシのシュレッダーの売り上げが倍増ですね。 pic.twitter.com/MYXRoSuoew
— 松村尚和(Hisakazu Matsumura) (@matsuhis1) November 27, 2019
このシュレッダーです。かなり大きいですね。公的な職務に就いている方や外交官の招待者などの情報は重要ですが、芸能人や一般人の参加者の情報については、文書の保存期間を一年未満としてもいいような気がします。ただ、早急に廃棄する必要はなかったと思います。文書なので、もっと熟慮すべきでしょう。
電子データのバックアップは?
行政の電子データや電子記録の保存は、近年になって始まったばかりであり、まだサーバーなどの体制が整っていないようです。アメリカにおいても、法律や体制がやっと追いついて、電子データの保存がホワイトハウスで始まったばかりです。
なにが問題?
行政の議事録などの公文書が未作成であったり、廃棄したりすることは問題となることがあります。以前の菅直人内閣のとき、東日本大震災に関する15組織のうち10組織の議事録が未作成でした。このことが野田佳彦内閣のときの調査で判明しました。このように、行政の組織の議事録が未作成であるのは問題です。
新宿御苑で銀杏を見る会。薔薇や十月桜も綺麗です。 pic.twitter.com/968FPkIj0A
— 八月のペンギン (@August_penguin) December 1, 2019
桜を見る会が開催される新宿御苑には十月桜など、いろいろな植物を見ることができます。新宿御苑がどういうところなのかや、桜を見る会の何が悪いのかも気になります。今回は、桜を見る会の招待者名簿です。現状の、ただの祭りであれば公文書として保存する必要はなさそうです。というより、桜を見る会を本来の目的に戻して、招待者の選び方も元に戻したほうがよさそうです。以上、こまかく、このニュースをお伝えしました。